前回は、たんぱく質の一日推奨摂取量についてご紹介させていただきました。

たんぱく質量はただ増やせばよいというわけではありません。

どちらかというと、たんぱく質の消化・吸収を良くする、せっかく摂ったたんぱく質を体の中でうまく代謝することの方が有効です。

「年を重ねて消化能力が落ちてきた」「20代のころは量を減らせばすぐ痩せていたのに・・」「お肉を食べすぎると便秘になりやすい」と感じられている方は、特に意識していただくと、たんぱく質がすっと体に入りやすくなります。

 

消化・吸収が難しい

たんぱく質は、栄養素の中でも、消化・吸収が難しいといわれています。

口から入って、胃酸(トリプシン・キモトリプシン)などによって、小さな分子に分解され、最終的にアミノ酸になり小腸で吸収されます。

なので消化・吸収を良くするポイントを3つ、取り込んだたんぱく質の代謝効率を上げるポイントを2つ、以下にお伝えします。

 

たんぱく質の消化・吸収を良くするポイント

まずは取り除くことから

食物過敏(遅発性アレルギー)を引き起こしている場合は、たんぱく質の吸収がうまくいきません。アレルギー源となっている食べ物を2週間ほどストップして様子をみてみましょう。遅発性アレルギーは、医療機関で検査を受けるとわかります。また、蕁麻疹、発疹など表に症状が出ていなくても、体のだるさや頭痛などで見えにくい症状で出てる方もいます。多いのはグルテン(小麦類)・カゼイン(乳製品類)ですが、2週間やめてみると、体がすっと体調がよくなって実感できると思います。

胃酸の分泌を促す

たんぱく質分解には、胃酸(ペプシン)が重要です。胃酸分泌を促すためには、よく噛むこと、またレモンや梅干しなど酸っぱい食べ物も有効。

腸内環境を良くする食事を日頃から

リーキーガット症候群といって、腸の粘膜に傷がついて、細胞と細胞の間の結合部分が緩んでしまっている方もいます。
分かりやすく表現すると、腸管の粘膜のバリアーがすかすかになった状態ということ。そうすると、未消化のタンパク質もそのまま通過しやすく、慢性炎症を引き起こしてしまいます。腸内環境悪化により、善玉菌より悪玉菌が優位になり、発生しやすくなりますので、食物繊維豊富、体に害のある糖質・脂質を控えた、腸内環境を良くする食事を心がけましょう。

 

取り込んだたんぱく質の代謝効率をあげるポイント

糖質を抜きすぎない

たんぱく質を体の中で活かすためには、炭水化物(糖質+食物繊維)が大切です。

低糖質になってしまうと、血糖値が急激に下がらないようにするために糖新生がおこります。

つまり筋タンパクの分解が促進されてしまいます。

せっかく摂ったタンパク質をエネルギー源に回されてしまうと、たとえば筋肉や皮膚、心やホルモンをつくるような、ほかの部分のタンパク質代謝を止めてしまいます。

なので、摂ったタンパク質を効かせるためには、エネルギーの充足、炭水化物を必要量摂取していただくことが大切です。

特に、血液検査で血糖維持能力を表す所見(空腹時血糖、HbA1C)が分子栄養学的基準値より低い場合は、糖質カットしすぎないように注意しましょう。朝起きるのがだるくなったり、昼間急に眠くなったり、寝ても疲れがすっきり取れないということにつながってしまいます。

 

ビタミン・ミネラルもしっかり摂りましょう

たんぱく質は消化・吸収された後、肌や筋肉、神経伝達物質など体をつくるために代謝をされます。

代謝がおこるためには、酵素と補酵素が必要でした。

例えていうと、タンパク質は「材料」、酵素は「作業をする人」、補酵素は「道具」というイメージです。

タンパク質の「材料」から、エネルギーや血肉になるためには、「作業をする人」や「道具」が必要であり、

この補酵素(道具)を担ってくれるのがビタミン・ミネラルです。

なので、ビタミン・ミネラルが豊富な野菜や海藻類も摂っていきましょう。

 

たんぱく質の吸収が良くなると、体調が良くなるのを感じられると思います。私たちの認知機能や心の状態に左右する神経伝達物質や、自律神経を左右するホルモンの元にもなっているからです。

また、筋肉、肌や髪をつくる材料にもなります。

「年を重ねて消化能力が落ちてきた」「20代のころは量を減らせばすぐ痩せていたのに・・」「お肉を食べすぎると便秘になりやすい」と感じられている方は、ぜひ試されてみてください。

 

参考文献:川合智先生 「栄養の力」セミナー資料