血液検査項目 AST・ALT
血液検査項目 AST、ALT
会社の健康診断など、一般的な血液検査項目に必ずといっていいほど入っており、体内の代謝状態を把握するのに活用しやすい項目です。
AST(GOT)、ALT(GPT)は、主に肝臓でのアミノ酸代謝に関わっています。
何らかの原因で、肝臓の細胞がダメージを受けると血液中に放出されるため、その量によって肝機能を調べるのに、よく使われています。
※Liver=肝臓
AST、ALTとは
AST、ALTは酵素の一つで、両者ともアミノ酸の合成や分解に関わっています。
AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)
肝臓のほか、骨格筋や心筋、腎臓、赤血球などにも存在しているため、肝障害以外の原因により上昇することもあります。
ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)
肝臓に多く存在します。肝機能の異常をみるのに直結します。
検査の解釈と栄養サポートへの活かし方
一般的な基準値はAST10~40、ALT5~40程度
分子栄養学的な基準値は、AST・ALTとも18~20
分子栄養学では、明らかな疾病に満たない未病の状態、生活習慣予備軍、などに対するアプローチにもなりますので、基準値が少し厳しめです。
通常の健康診断では、明らかな異常値として高値→「脂肪肝の疑い」を指摘されることが多いと思いますが、
これらの数値を細かくみていくことによって、体内の代謝状態を把握したり、生活習慣病の予防、安全なダイエットをすることができます。
数値の解釈といくつか例を挙げます。
ASTよりALTの方が高い
肝細胞にダメージがあり、血中に漏れ出ている状態です。脂肪肝、または何らかの肝機能障害が疑われます。上記に書いた通り、ASTは骨格筋、赤血球中などほかの組織にも含まれますが、ALTは肝臓に主に存在しているので、肝臓がダメージを受けている所見と考えられます。
※脂肪肝とは・・中性脂肪が過度に肝臓に蓄積した状態。過剰なアルコール摂取、肥満などが原因で、肝臓に余分な脂肪が蓄えられた状態。
よって、中性脂肪を溜め込みすぎない食事内容を考えていきます。
ALTだけが極端に低い
ビタミンB6不足の可能性が高い。ALT、ASTは、ビタミンB6を補酵素にして活性化して、アミノ酸代謝を助けます。
ここで、ALTは血中での半減期(なくなる早さ)が早いことです。なので、同じ量だけ血中に出ていても、ALTが先に減ってしまうからです。
対策としては、ビタミンB6のサプリを摂る、前にビタミンB6の吸収をよくするための食事をすることです。
AST・ALTともに低い
両者とも18より低い場合は、たんぱく質不足を疑います。AST・ALTとも酵素であり、酵素はタンパク質からできているため、体内でのタンパク質が不足している場合が多いです。単純に栄養素が不足していれば、タンパク質、その他の栄養素を摂っていけばよいですが、タンパク質の吸収に問題がある方が多いので、まずは消化・吸収システムを良くする食事から始めましょう。
ASTが高い
たとえば、ASTが20を超えて30くらいまでの方。一つは、日頃から筋トレをしている人、筋トレ後の可能性が高いです。ASTは骨格筋にも多く存在しているので、筋トレによって筋がダメージを受けて血中に漏れ出ていることがあります。筋トレの頻度やリカバリーができていれば、こちらの数値は悪いものではありません。
また、ASTは赤血球中にも存在するため、溶血も考えられます。
※溶血・・赤血球の膜が破れてしまうことです。
これだけで判断せず、MCVなどほかの検査項目も合わせてみていきます。詳しくは割愛しますが、赤血球の膜を丈夫にする食事内容を考えていくと良いです。
血液検査項目とお悩みの症状、日頃の食事を併せて見ながら、最適な食事内容を検討していきましよう。